日本の若者が、成人式くらいしか着物を着なくなったと同じように、ベトナムの若者で、いまアオザイを着る人はほぼ皆無。
アオザイを綺麗に着れるようにと、スタイルをキープする習慣があったことにより、スレンダー美人が街中に溢れていたベトナム女性。
そして、いまそのアオザイの代わりに、日本の原宿ファッションがトレンドとして続いているのです。
原宿ファッションがトレンドに!
原宿ファンションがやってきたのは2005年の夏。
ホーチミン市やハノイの街中を歩いていますと…
カフェから聞こえてくる音楽は欧米やKポップ。
そして、街中を歩く若者を見てみますと、男性は欧米の音楽の影響からヒップホップ風の服装を好んでいるのですが、ちょっと変わったファッションの女性を見かけることがあります。
それが「原宿系ファッション」と呼ばれるもの。
ベトナムの若者たちがイメージする「原宿ファッション」
ベトナム人が定義する原宿ファッションとは、「周りの人がどう思っても気をせずに、ともかく個性的な服装」のこと。
特に、日本人がイメージする原宿系という訳ではなく、日本の若者たちの先端ファッションすべてが「原宿ファッション」として認識されています。
代表的なものとして、
- 丈の長いシャツに細身のパンツを合わせる
- パンツを低い位置にずらしてはく
- 首や手にアクセサリーをじゃらじゃらつける
といったスタイル。
また、エイプ/APEなどに代表される裏原系のほか、ロリータやエモなど、ちょっと変わったカテゴリーのものまで、ベトナムでは「原宿ファッション」と呼ばれています。
なんで原宿系ファッションがブームになったの??
リーマンショックの影響を受けず、粛々と経済成長を続けていたベトナムに、日本からファッションが導入された2000年代前半。
経済成長と比例し、伝統に縛られない若者が多くなり、そのため、自分には個性があるよと自己主張するため、注目されたのが原宿ファッションなのでした。
原宿ファッションがベトナムでトレンドになるやいなや、数年後にはホーチミンやハノイに、ファッション系のお店が乱立したのです。
「原宿系」の若者たちは、ホーチミン市ではダイヤモンド・プラザ、ハノイ市ではヴィンコム・タワーなどのショッピングセンターや、アミューズメントスペース、ミュージックバーなどによく出現しました。
「原宿ファッション」をテーマとしたパーティーを催したり、デートに出かけたりする若者も多くいました。
しかし、その後、このブームは収束。
原宿ファッションは自然消滅していったのです。
原因として、当時、原宿ファッションと呼ばれたものの、実際に個性はなく、たんに真似をしていただけでした。
次第に、あれ??これは違う…
と気づき、このファッションは変な服装だと感じた若者が続出。
原宿ファッションは一時的に後退しました。
しかし!!
小さい頃に、原宿ファッションを覚えた人がデザイナーとなり、いま、ベトナムでの原宿ファッションに新風を吹き込んでいるのです。
日本の原宿ファッションでは個性的過ぎるため、日本のものを少しソフトにしたスタイルが大人気。
ベトナム流の原宿ファッションが形成されているのでした。